【今日の動画】オランウータン の『うー様』

【今日の動画とは】
トップページでランダムに表示される動画の中から良さげなものをピックアップして話を広げてみようというコーナーです。

今日の動画はオランウータン の『うー様』 (長崎鼻パーキングガーデン) 2018年7月28日です。

鹿児島市から南下し、指宿をさらに超えた南端に長崎鼻パーキングガーデンという動物施設があります。
緑豊かな園内の所々で動物たちが飼育されており、中にはハゲガオホウカンチョウクロエリサケビドリなどの珍しい種も飼育されています。
その中でも特に異彩を放ち、目玉ともされているのが表題のオランウータンの『うー様』です。

ファンの方から聞いた話によるとこの『うー様』は、1995年11月15日に浜松市動物園で生まれた『トヨコ』という個体とのことです。
[参考] GAIN 大型類人猿情報ネットワーク:オランウータン:トヨコ
2才の時に来園した際に『ウラン』と名前を変え、その後10年近くはショーなどもしていたそうです。

オランウータンのショー、とても気になります。どんなことをしていたんでしょうか。海外の動画を見る限りではチンパンジーと似たようなものでしょうか。
自分は動物の習性に則していなかったり飼育にプラスにならないタイプのショーにはあまり魅力を感じませんが、その動物の全く知らなかった能力や可能性を垣間見たり、時代や文化・技術を感じるという点で知的好奇心がくすぐられるのは否めません。
動物の名前が園の移動により変わったり、オランウータンショーのショーが行なわれたりするのは正に時代を感じるその最たるものです。

そんな経歴を持つ『うー様』はショーの引退後はバックヤードで暮らしていましたが、引退から10年後の2015年末より再公開されました。

正直に言うと『うー様』の部屋を見た時の感想は「狭いな」でした。
怒らないで聞いて欲しいのですが、コンクリートと檻によって四方を囲まれたこの場所で生活することは人間で言えば独房と同じなのではくらい思いました。

一方で、消防ホースを絡ませたりと限られた空間の中で少しでも快適に過ごせるような努力がうかがえますし、バックヤードにもっと快適な空間があるのかもしれません。表立っては出来なくとも飼育員さんと仲睦まじく直接的なコミュニケーションをとっている可能性もあります。
そもそもコンクリや檻に対して抱くネガティブなイメージは人間特有のものであり、オランウータンにそのような先入観はありません。こちらから見える景色は檻の中でも、動物から見る景色は緑豊かな園内です。少し離れた場所にはリスザルも居ます。
実際の飼育環境や、動物がどう感じているかなんて、長年連れ添った飼育員さんならまだしもパッと一目見に来た部外者が推しはかれるものではありません。

また、これ以上環境を改善するにはあまりにリソースが足りていなくて現実的ではなさそうです。
オランウータンに限らず、「飼育」とは限られた条件下で限られた努力をするしかないのだなと感じたのを覚えています。
ただひとつ思うのが、ショーを行なうために外に出たり、人間と直接的なコミュニケーションをとっていた頃と今の環境のどちらが『うー様』にとって幸せだったのかなということです。
ショーを中止した理由は分かりません。体格的に成熟して人に危害を加える可能性を恐れたのか、外部から何かしらの非難を受けたのか、あるいは他の要件か。
もし仮に非難があったとして、それが「オランウータン」の幸せを願って行なわれたとすれば、じゃあ『うー様』にとっては何が良かったのかな、なんて思うのです。

もちろんそれを『うー様』に聞いても分かりませんし、答えてくれたところで(少なくとも自分には)どうにもできません。
動物と「飼育」という関係性で繋がっている時、動物と話が出来ればなとよく思います。
でも話せないからこその「動物と人間」であり、また話せなくとも伝わることは沢山あります。
動物園で垣間見える、ヒトと動物が通じ合わなくともお互いを認識し信頼し合うような関係性が、決して夢幻の類ではないと自分は信じたいのです。

時代も変わり、今後『うー様』のような経歴を持つ動物は少なくなってくるでしょう。
今はもう見られない光景や関係性、隆盛の頃の施設、そして動物たち、そんな時代を支えてきた人たちと、今もこの先も繋いでいく人々、変わっていく景色、それら全てに対して自分は敬意と旧懐と期待を抱かずにはいられません。
長崎鼻パーキングガーデンはそんな動物施設の時代や在り方を改めて感じさせる施設でした。

何も考えずに書いていたら最後は動物園観の話になってしまいました。
園内の美しい景色やフラミンゴショー、インコショー、ネズミショーなどについても触れたかったのですが、それはまたの機会に。
なお、特筆すべき点として長崎鼻パーキングガーデンでは園内のほぼ全ての動物に名前が付けられています。
気になる方は再生リスト「長崎鼻パーキングガーデン (2018年7月28日)」をご覧ください。

さいごに。
自分はブログを通じて何かを訴えようとか何かを変えようとは特に思っていません。
同じものを見てどう感じるのかは人によって違います。そして自分の場合はこう感じたという、ただそれだけの話です。

2020年8月28日 | snow

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『うー様/ウラン/トヨコ』雌・1995年11月15日 生まれ